
こんにちは。
市役所に約25年間勤務して、アラフィフで退職した やめたいむ です。
ご覧いただきありがとうございます。
市役所はだいたい、3~5年で異動があります。
異動には「悲喜こもごもの感情」がつきものですが、
異動して来た職員をめぐって、
「係長対抗職員争奪戦(押し付け合い)」があるのをご存じですか?

本日は「市役所の異動あるある」についてのお話です。
市役所の異動って?

まずは、市役所の異動について、簡単に触れておきましょう。
内示と異動まではたったの1週間!
一般的には、3月25日近辺から月末にかけて、異動の「内示」発表があります。
内示から約一週間以内に、慌ただしく、今の課と次に異動する課の両方の引継ぎをします。
そして、4月1日には私物などの荷物も運び込み、異動完了です。

たったの1週間で異動なの?民間は一か月くらい準備するよ
おおむね市役所の3割弱の職員が、一斉に「大移動」します。
新しい部署の人と挨拶もそこそこに、当たり前のように仕事をしなければなりません。
異動する部署によっては、前の課の経験が全く役に立たない!

もはや「転職」に近い感覚です。
では、「異動あるある」を見ていきましょう。
異動あるある①異動発表当日は仕事が手につかない

3月末の内示発表当日は、周りがバタバタして落ち着かない状態です。
誰が異動したか気になり過ぎて、仕事に集中出来ません。
「○○課に異動になった!どんな部署かな」と、異動出来た嬉しさから興奮する職員もいたり、
誰が異動なのか、みんな興味深々でいるからです。

本当に慌ただしい雰囲気になります
一方で、自分自身が異動したかったのに、内示の異動メンバーに該当しなかった、、
「残留決定」後には、落ち込んで仕事に身が入らない場合もあります。
まさか異動確定だと思っていたのに当てが外れ、少なくともあと一年は今の部署で働く、、
発表直後は、魂が抜け殻になってしまう人もいました。

実は私も、その抜け殻になったことがあります・・。
異動あるある②係長対抗職員争奪戦がある

係長対抗職員争奪戦とは
タイトルにもある「係長対抗職員争奪戦」についてのお話です。
「新しく配属が決まった職員の中で、少しでも優秀な人を自分の係にしたい!」
係長としては当然の思いです。
当然、どこの係長も同じ考えでいます。
優秀な人材をそろえて、課内の仕事がスムーズに回るようにしたい!
働かない、仕事が出来ない等の問題のある職員は、
自分の係の配属になる事だけは全力で阻止したい!
係長対抗職員争奪戦とは、裏を返せば、
「仕事が出来ない職員の押し付け合い」なのです。
優秀な職員が来るかより重要な事は、
「仕事が出来ない職員の配属を阻止すること」です。

え!なんかすごいレベルの話だね…

優秀な職員でなくても、「普通」でいいんです!
話し合いで決着がつかない時
まず、内示があった翌日くらいまでに、その部署の係長全員が集まって話し合いが行われます。
「ウチはベテランが抜けたから、それなりの人を配属して欲しい」
「ウチの係は去年問題児の職員を引き取ったから、今年こそいい人を選びたい!」

係員からの期待も背負っていますから、真剣です!
話し合いで新しい職員の配属が決まる事も多いですが、
万が一、揉めて決まらない時もあります。
内示から異動までの期間は、1週間しかありません。
時間がありません!
その時はどうやって決めるのか・・
それは「じゃんけん」か「あみだくじ」です。

そこで決まったら文句なし、です。

マジで?まあ確かに公平だけど、ちょっと民間では考えられないかな
この決め方は信じ難いかもしれませんが、
そもそも仕事が全く出来ない、または働く気がない人が存在する方が信じられない事なのです。
でも、コネか何かで市役所に入ってしまった以上、クビには出来ません。
そういった特殊枠の職員は、たいてい1年ごとに部署を異動するので、
「1年間だけ我慢して」受け入れる、いわば毎年「たらい回し」になっています。
そんな職員は大変残念ですが、各役所に数人は存在します。
いつ、どの種類の働かない職員が異動してくるか、、
それはまるで、子どもの頃に遊んだ人もいる「ハンカチ落とし」の状態なのです。
異動あるある③異動してすぐの電話や窓口がコワい

4月1日の異動したての電話や窓口は、
市民に急に何を聞かれるかと思うと、内心ドキドキです。
市民にとっては、職員の異動なんて何の関係もありません。
とりあえず対応して、市民からの質問内容を周囲の誰かに確認したいのですが、
年度当初で忙しく、みんな電話に出ていて聞く人がいない!なんてこともあります。

聞きたいのに、みんな手が離せないと焦ります!
でも大丈夫です!しばらくすれば、仕事にも慣れてきます。
堂々としていていい

今になって、幾たびかの異動当時を振り返って思う事は、
役所の異動は「転職」くらい業務内容が変わるので、
配属されてすぐに、わからない事があって当たり前だという事です。
以前の私は人に何か聞くのが苦手で、聞くタイミングすらものすごく気を遣い、
「わからない」事に対して周りにとても申し訳ないと、思い込み過ぎていました。
たまにですが、自分だって異動したばかりの頃は、何もわからなかったはずなのに、
人に教える事を面倒がる人もいます。
私には、「なぜ教えないという意地悪をする人がいるのか」全く理解出来ませんでした。

信じられないね、自分だっていつかまた異動するのに!
でも、大丈夫です。
教えてくれる人を見極めて聞きましょう。
異動は誰にでもあるのだから、堂々として、質問すればいいと思います。
ただ、後になると段々聞きづらくなるので、
隙を見て、わからない事は早めに質問しておきましょう。
異動あるある④4月1日付け起案の文書が多すぎる

役所は、4月1日付け起案の文書がめちゃくちゃ多いです。
業者との委託も何もかもが新年度ごとなので、4月1日付けで起案し直します。
毎年、どの部署でも4月1日付け起案の文書が大量にあります。
多すぎて嫌になるくらいです。
しかも、文書システムが恐ろしく融通が利かないので、
3月中の余裕のある時期に前もって文書を作成しておく、という事が一切出来ません。
新年度の4月1日から施行されるものは、4月1日以降でないと全く操作出来ないのです。

それは不便だね
異動あるある⑤すぐに慣れる訳ないのに「慣れた?」と聞かれる

新年度しばらくは、誰とすれ違っても、
「どこに異動したの?」「慣れた?」と聞かれます。
そんなすぐに慣れるワケないのに、何故か毎年飛び交うセリフです。
役所の職員特有の社交辞令、気遣いなのかもしれませんね。

異動先の雰囲気を聞かれるのも困ります…
または、
「今年も異動出来なかった」「今の部署はもう何年目?」
などの会話が飛び交います。
4月の一週目などは、庁舎内ではこのセリフしか聞かないくらいです。
他課に決裁文書を持っていく途中に、廊下で続けて何人も遭遇してしまうと、
最初の方に話した人がどこに異動したのか、覚えていない事もあります。
あるある⑥異動したかったのに、異動したくなくなる

今の部署を異動出来てうれしかったはずなのに、
次の異動先の引継ぎを受けてみたら、過酷な部署だったと判明し、
やっぱり異動したくなくなる事があります。
これなら、今の部署の方が慣れている分、マシだったかもな・・
この現象を私は仲間内で、
「脱出成功!着地失敗!!」
と呼んでいました。
異動出来て良かった部署はあるけど、異動して来て良かった部署は少ないようです。

役所の異動は民間に比べて大変かも
番外編:年に数回の異動がある自治体も

小分けして異動
自治体によっては、年一回だけではなく、
小分けして4月以外の8月や10月、2月などに分散して職員を異動させて、
現場の混乱を防ごうとしているところもあります。
職員側からの要望から、このような異動の分散化が実現された自治体も、まれにあります。
でもまだまだ、人事課への負担などが大きいため、
年1回以上の異動を実施する自治体は少ないです。
小分け異動のメリット
市民の引っ越し等で「4月が超多忙な市民課」などは、メリットが多いようです。
- 繁忙期に「新しい人」が来ないので「経験者」だけで対応出来て良い。
- 落ち着いた時期にじっくり教える事が出来て、職員の余裕が生まれる。
このように、4月が繁忙期の部署にとっては、
春先の異動を避けられた方がいいのかもしれません。
また「保育課」も、新しい園児・父母の多い新年度は、
職員間の異動が最小限だと、混乱が少なくて良いそうです。

繁忙期に異動した人の指導もあると正直大変なんですよね…
小分け異動のデメリット
異動が年一回だと、3月の内示の時期だけドキドキすれば良かったのですが、
小分けの異動体制では、年4回の内いつ自分が異動になるのか、検討がつきません。
自分なりに、一年間の計画をしていても、変更せざるを得ないのです。
課内の体制も、異動があるたびに変動します。
途中でベテランが異動して、中途採用の新人が配属されることもあるからです。

多少は仕方ないのかもしれないね…
それでも、小分け異動の方が、全体的にはメリットが多い気がします。
まとめ

「市役所の異動あるある」について、お話しました。
市役所の異動は、よく「ガチャ」と言われています。
異動希望申請書の提出は出来ますが、あくまでも希望にすぎません。
どんな部署になるか全く予想がつかず、異動は意志のない転職のようなものです。
そして、異動先では毎年、「白熱した職員の争奪戦」が繰り広げられているのです。
異動先によっては、仕事が激務だったり、人間関係の悩み等で、
心身のバランスを崩したり、うつになって、人生が大きく変わってしまう人もいます。
それでも公務員にとって異動は、切っても切れないものです。
それでは本日のまとめです。
- 異動職員をめぐって、係対抗の争奪戦が毎年ある。
- 新しい配属先はコワいけど、堂々としていていい。
- 4月1日付け起案の文書が多すぎる。
- 数日で慣れるワケないのに、「慣れた?」とすぐ聞かれる。
- 脱出成功!着地失敗!!の異動もある。
- 異動は意志のない転職のようなもの。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
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